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アイス業界の注目ワードは「春アイス」! アイス研究家が春アイスを愛でる

シズリーナ荒井
春アイスアイキャッチ
偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「アイス業界の注目ワードは『春アイス』! アイス研究家が春アイスを愛でる」。シズリーナ荒井さんが書かれたこの記事では、アイスクリームへの偏愛を語っていただきました!

みなさん初めまして、アイス研究家のシズリーナ荒井です。私は、1歳1カ月から今日までにおよそ6万個以上ものアイスを食べては研究しています。アイスの新商品が店頭に並ぶ前日には脳汁が止まらず、新商品を誰よりも早く手に入れるまで眠れないこともあります。

そんなアイスファーストな日々を送っているからこそ気づいてしまうこともあります。今回は、そんなアイスの偏愛者だからこそ気づけたアイス業界のアレコレを綴らせていただきます。どうぞ最後までお付き合いください。

冬アイスの次は「春アイス」である理由とは

今まで、アイスの新商品が発売される主なシーズンは、夏と冬が通例でした。その中でも特に冬アイスは遊び心のあるユニークな新商品が市場に出回ります。一方、夏には確実に売れる新商品を生み出そうとアイスメーカー各社が鎬(しのぎ)を削っています。

それもそのはず、アイス業界の売上構成比は、春夏商品と秋冬商品では春夏商品の方が高くなっており、アイスメーカー各社の売上予算設定も高くなっています。そのため、売上を確実に上げるため夏に出される新商品は過去に売行きの良かったフレーバーや商品、冬に発売した新商品(1月〜2月)に売れ行きの良かった商品が継続して店頭に並びます。

2021〜2023年の間に5回もの原材料費高騰などによる値上げラッシュに伴い、創意工夫が求められる時代になったようで、今年のアイス業界は特に“春アイス”にも新商品の開発に注力しているようです。

それもそのはず、2024年1月には日本気象協会からの発表でもあったように、今年は例年より夏物アイテムの需要が高まる見通しであると予測されており、3月から発売される新作アイスが注目されています。

アイス研究家が注目する「春アイス」とは

【注目の春アイス その1】アイスの新常識「代替」アイスが続々と登場

日本では動物性ミルクを使用した商品が数多く点在しており、豆乳やアーモンドミルクなどの植物性ミルクを使用した冷菓カテゴリーの領域ではまだまだブルー・オーシャンです。

日本のスーパーマーケットやコンビニエンスストア(2017年度)では、動物性ミルクのアイスがアイス市場全体のうちおよそ90%が店頭のアイスストッカーに導入されていましたが、2023年度の動向から植物性ミルクの新商品が続々と登場している流れや健康市場の成長に鑑みると、10年後には動物性ミルク商品と植物性ミルク商品の販売シェアが同じぐらいになっているのではないかと予測します。

植物性ミルクでありながらも動物性ミルクのような味わいが楽しめる代替アイスは、およそ7年前から開発されていたのですが、ヘルシーだけど豆乳のえぐみが前面に出てしまい、風味の部分で課題を残す商品が多かった。

しかし、ここ最近は味わいへのこだわりが実を結んできたように思えます。そんな中、複数の植物由来原料を組み合わせて作られたプラントベースアイス『エクリプスコ(eclipseco)』が先月から、都内のファミリーマートにて先行販売されておりSNSの反応を見る限り好調のようです。

クラシエからは『フロムグリーン』シリーズ、ロッテからは『クーリッシュGreen』シリーズからは『ストロベリー』が新登場と、代替アイスの市場が熱くなっています。

・​​一推し代替アイス!

『エクリプスコ(eclipseco)』(エクスリプス・フーズ・ジャパン)

「エクリプスコ」を口にして驚いたのは、植物性ミルクのアイスではあるが、食感がボソボソっとしていない点は感動を覚えます。また、植物性ミルクではありますが、独特なエグ味なども軽減されており、とても食べやすかったです。今後のフレーバー展開が気になるところ。日本では、アメリカでも人気の高い3フレーバーを展開されており、シナモンやジンジャーの香りが口に広がる「クッキーバター」、ショコラティエが作る濃厚なショコレートを混ぜ込んだ「チョコレート」、ジューシーなマンゴーとパッションフルーツを使用した「マンゴーパッション」がラインアップされています。

【注目の春アイス その2】昨年の夏のトレンドから定番の仲間りしたフレーバーとは

2023年の夏にトレンドになったフレーバーが「白桃」でした。この流れに乗り遅れたアイスメーカーが、2024年の春アイスに間に合わせる形となり続々と「白桃」のアイスが登場します。そもそも、アイス業界はスイーツのなかで一番保守的であり、トレンドの最後の砦だと私は考えます。実は、アイスクリーム類は、賞味期限を書かなくてもいい商品なんです。-18℃以下の保存環境であれば品質の変化がほとんどないので、消費者庁・食品表示基準の規定により、賞味期限の表示を省略することが認められています。

そのため理屈上は棚に延々と置いておくことが可能ですが、そうすると次の新しい商品を入れられないため、必ず売れる商品を作らないとならず、マーケティングはかなり慎重に行います。

2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態に直面し、アイス業界もかつてない難しい環境の中でリサーチを行ってきました。そこで、目を付けたのが大手コーヒーチェーン店のフローズンドリンク商品のナインアップ。夏になると定期的に採用される夏のデザートが「白桃」であり、店舗によっては即完売になる情報もSNSで容易に入手できたのです。 桃をまるごと使った贅沢なスイーツや、フローズンドリンクのフェアが組まれるなど、需要も確実にあるフレーバーとして2020年アイスメーカーがこぞって白桃フレーバーを採用したのがきっかけとなり、昨年も白桃アイスが豊作でした。

ここに来て、なぜ、春アイスとして白桃フレーバーで勝負をかけたのでしょうか?

2023年は世界各国で平均気温記録が更新され、世界的に観測史上最も暑い1年になりました。その結果、アイスが定期的に売れ続け、2023年度のアイス業界の売上が過去最高を記録しており、2023年度(売上ベース)の身長率は110%と好調に推移しています。その分、今年度(2024年度)の売上目標が高くなり、確実に売れる新商品を出したと考えられます。その中で昨年白桃フレーバーを出していないアイスメーカーが白桃アイスで挑戦する運びとなっています。

・一推し白桃アイス!

『ヨーロピアンシュガーコーン 白桃のジェラート』(クラシエ)

今までのヨーロピアンシュガーコーンとは異なり、38年目にしてヨーロピアンらしいジェラート仕立てのコーンアイスで白桃フレーバーが登場。口溶けがなめらかで国産の白桃果汁を22%使用することで白桃の芳醇な香りが楽しめ、サクサクコーンがアクセントとなって絶品です。春アイスらしい商品となっています。

【注目の春アイス その3】おうちでカフェ気分が楽しめるアイス

アイス業界で人気のフレーバーは、バニラ・チョコ・ストロベリー・抹茶に次ぐ人気のフレーバーは「紅茶」です。その代表作となったのが2019年に発売された「明治 エッセルスーパーカップ 紅茶クッキー」(※現在終売)です。このアイスがきっかけとなり、紅茶フレーバーが多くのユーザーに刺さり、明治の後を追う形で紅茶フレーバーの開発に着手するアイスメーカーが増えました。紅茶のフレーバーといっても、単なる紅茶味のアイスではなく、紅茶の茶葉を厳選し、濃厚なミルクを合わせたミルクティーのフレーバーが春アイスとして登場します。

飲料メーカーキリンの午後の紅茶をイメージした「午後の紅茶フローズンティーラテ」(森永製菓)やチョコとアイスが同時にとろける「パルム ロイヤルミルクティー」(森永乳業)が先人を切って期間限定で発売します。

一推し紅茶アイス!

『パルム ロイヤルミルクティー』(森永乳業)

世界三大銘茶であり、芳醇な香りが特徴のウバ茶葉エキスを100%使用することで、コクがあり華やかで芳醇なロイヤルミルクティーアイスに仕上がっています。口溶けの良いホワイトチョコとの相性も抜群で、上質なアイスバーであるパルムブランドにふさわしい品質です。ぜひ、春風を感じるバーアイスをお試しください。

まとめ

普段スーパーやコンビニで何気なく目にするアイス。しかしその背景には、企業の弛まぬ努力と緻密な戦略があります。なぜこの時期に、このフレーバーのアイスが販売されているのか、この記事が考えるきっかけになれば幸いです。

これからも私が愛するアイスのことをよろしくお願いします!

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