WOTONAKICHI
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苔オタクは何して過ごしてる?知られざる“コケ活”ルーティンとコケテラリウムの作成手順も

私がコケ(苔)にハマり出したのは、3年前。コケのテラリウム作成体験講座に参加したのがきっかけでした。それ以来、すっかりコケの世界に魅了され、1日のうち10時間以上はコケのことを考えています。頭の中は、コケが8割、家族が1割、仕事が1割って感じかな。 その前は、室内で何か緑の物を育てたくて、野菜の種を発芽させて新芽を食べるスプラウトを育てていました。 しかし、何か物足りなかったんです。食べるとなくなっちゃうし。そんな時にコケテラリウムに出合いました。 繊細でナチュラルでかわいい。お世話をすればするほど生き生き育つ。そんな魅力のあるコケテラリウムに夢中になり、自分で作成した数は50個以上。 そして、家にあるコケの種類は22種類。改めて数えてみると、我ながらなかなかコケを集めています。 ・ホソバオキナゴケ・タチゴケ・トヤマシノブゴケ・ヒノキゴケ・スナゴケ・ホウオウゴケ・フタバゼニゴケ・コウヤノマンネングサ ・アラハシラガゴケ・ミズゴケ・スギゴケ・ツルチョウチンゴケ・ハイゴケ・ヒメホウオウゴケ・ムクムクゴケ ・カモジゴケ・シノブゴケ・カサゴケ・コツボゴケ・タマゴケ・ムチゴケ・フロウソウ それぞれ違った魅力・可愛さがあるんですが話すととっても長くなってしまうので、それはまた別の機会に紹介できたらうれしいです。 あとは……コケのセミナーは17回受けたし、コケを見るためだけに山登りもします。専門家の話をじっくり聞きたくて、コケの学会にも入っちゃいました。 コケのセミナーはこんな感じ。ナチュラルな可愛さでワクワクするでしょ? 山の自然なコケは、街のコケとはまた違う表情を見せてくれる そんなコケに魅了された私の、1日のコケ生活(お家で楽しむバージョンとお外で満喫するバージョン)を紹介していきます。 日々のコケ活ルーティン(お家の中で楽しむ) まずは、日々のコケ活ルーティンについて紹介。 お家でじっくりゆっくり楽しめるのが、コケ活の魅力ともいえます。 6:30/起床、コケの水やり 毎朝の私のコケ活は水やりから始まります。 まずは、ふたの無い器に植えてあるコケを確認。 ふたが無いと乾燥しやすいから、様子を見てあげます。 左からホソバオキナゴケ、トヤマシノブゴケ、シノブゴケ、大きいのはシダの一種でトウゲシバ ちょっと表面を触って、コケの湿り具合をチェック。少し湿り気があればOK。 乾燥している場合は、コケが適度に湿るまで、数回霧吹きをかけます。 続いて、ふたがしっかり閉まった密閉容器のコケの世話。 5分間、ふたを開けてあげます。 背の高いコケはヒノキゴケ、地を張っているのツルチョウチンゴケ というのも、フタを開けないとコケが空気を求めるのか、元気なくヒョロヒョロと伸びてしまうんです。綺麗な姿でいてもらうためにも、こまめなお世話が大切です。 ついでに、コケの様子だけでなく、コケの下にある土の乾燥具合もチェック。 土表面に水が上がってこない程度に湿っている状態がGOODです。乾いている場合は、水差しで水をやり、水が表面に出てきたら、スポイトやティッシュで吸い取ります。 乾燥に弱いこのコケたちは、ふたを閉めるのを忘れると乾いてチリチリになってしまうので、注意が必要なんですよね。 その他の大半のコケたちは、少し隙間の開いたガラスの器に入っています。 ふたとビンの少しの隙間 このタイプのガラス容器に入っているコケには、水やりは3週間に1回程度でOK。 直射日光の当たらない窓際にずらっと置いてます。朝日が数分入れば光合成には十分 コケは寒さには強いですが、暑さには弱いです。容器の中が27℃を超えるとコケは弱ってしまいます。 水槽に設置するLEDライトもコケのために使用中。温度・湿度・光の管理が重要です。 8:00/出勤しながらコケ観察 通勤で毎朝通る道端にも、色々なコケが生息しているんです。 毎日見ていると、色や生え方の変化に気づきます。今まで気づかなったところにコケを見つけるとうれしい気持ちになります。 雨の次の日はとくにコケがきれいだから、ワクワクしますね。 マンホールの穴も、コケが好む場所。かわいい 今日はどんなコケテラリウムを作ろうかな、なんて考えながら仕事をしています。 18:30/帰宅  コケを横目に、家事・食事・入浴。早くテラリウムを作りたいから、さっさと済ませようとがんばります。 20:00/コケテラリウムの作成開始 いよいよ夜のコケ活です。新しいコケテラリウムを作っていくぞ! 仕事の疲れや悩みを忘れられる、至福の時です。 まず、ガラス容器に土を入れます。 続いて石を入れます。 が、石の配置はテラリウムのカッコよさにかなり影響するので、慎重に。真剣に。 「ちょっと大きすぎる」「向きが逆だな」なんて散々試行錯誤の上になんとなく石の配置が決定しました。 これだけでもいい感じじゃないですか? 水差しで土を湿らせたら、いよいよコケを植えていきます。 ピンセットで、1本、1本。 小さなコケの毛並みを揃えるように 無心になって、時間を忘れてコケを土に刺していると気持ちが落ち着く 1つひとつ丁寧に 24:30/就寝 気づいたら4時間経っていました。もう少し続けたいけど、明日も仕事なので。後ろ髪を引かれつつ就寝です。 ちなみに、2日後に完成しましたー! ある日のコケ活スケジュール(屋外を楽しむ) 続いて、屋外でのコケ活スケジュールを紹介します。 今回は鎌倉でコケを楽しんだ1日を振り返ってみますね。 7:00/家を出発 → 9:20/鎌倉駅近くのお寺に到着 本堂の天水桶にホンモンジゴケというコケがこんもり青々としています。このこんもり具合がたまらないんです。 このコケは緑青を好むので、銅吹きの屋根や天水桶の近くに多く見られます。ジメジメしたところにいるイメージのあるコケですが、種類によって生息する場所が違うのも性格が出て可愛いですよね。 ホンモンジゴケの拡大写真。水を受けてツヤツヤと美しい。 10:00/コケテラリウムのセミナーを受講 某コケ専門店で、コケテラリウムの講義を受けます。このコケ専門店が大好きすぎるので、わざわざ時間をかけて鎌倉まで通っているんです。 コケを好きになってから毎月通っているから、通算10回以上は来ています。お店の雰囲気も店主さんも大好きです。 今日は大きめのテラリウムを作成。毎回違うテーマのテラリウムを作れるし、いろいろな技術や知識を教えてもらえるし、店主さんのコケ愛に刺激を受けます。他のお客さんとお話しするのも楽しいですね。 13:00/いつも行く定食店さんでランチ 店の前には、店主が育てている盆栽が所狭しと置いてあります。 盆栽がフサフサと蒴(さく)を伸ばしている様子。小さい植物をつい愛でてしまう 14:30/北鎌倉のお寺に到着 広大な敷地内にはさまざまなコケが生息していました。 ゼニゴケ。雄株は紫色 エビゴケ ジンガサゴケ いろいろなコケが混じりあって美しい 16:30/お寺の閉門に合わせて帰路につく すっかり、コケを満喫しました。歩数アプリの表示は12,012歩。コケを楽しみながら、運動にもなる。コケ散歩は一石二鳥です。 心がホクホクしています。明日からのお仕事も頑張れちゃいますね! まとめ コケのかわいさ、伝わった? もしかしたら地味なイメージがあるかもしれないコケですが、このようにたくさんの楽しみ方があるんです。 ミニチュアや模型が好きな方はコケテラリウムを好きになる可能性大だし、ちょっとコケに目を向けてもらうだけでいつもお散歩がより楽しくなります。 少しでもコケの魅力が伝わったならうれしいです。 さて、次はどんなコケテラリウムを作ろうかな〜。
岩本ゆうり

パチンコ・パチスロはお金を増やすために行くんじゃない。好きなアニソンを聞くために行くんだ

パチンコを大学1年生から打ち始め、過去には家にパチスロの機械が3台あった私(引越しの際に売ってしまいましたが……)。大学時代の夏休みは8月1日から31日まで1日も欠かさずに打ちに行きました。 今まで付き合った男性はみんな、パチンコに一緒に行ったのがきっかけ。声が聞こえにくいから話す時の距離が近くなるし、他の人にはわかってもらえない趣味を共有している背徳感がドキドキさせるんですよね。要は、パチンコは恋のキューピットであるということです。 そんなことはさて置き、パチンコをしない人ほど「パチンコはギャンブル」「パチンコはお金を稼ぐために行くもの」と思っているのではないでしょうか。 否定はできませんが、私がパチンコに行く目的はちょっと違います。 なぜ私がパチンコに行くのか。 それは「好きな音楽を聞くため」です!!! 「パチンコ店なんて音がうるさくて音楽楽しめないでしょ?」と思われましたか? ふっふっふ。むしろ、周りの音が大きいから多少声に出して歌っても人に気づかれないというメリットすらあります。花粉がひどくマスクをしていても自然な昨今ならなおさら、控えめな熱唱ならバレないのです!(歌うことを推奨しているわけではないので自己責任でお願いします。周りの人に聞こえない程度にしてくださいね) 今回は、パチンコ店さんで音楽を楽しむ魅力と、パチンコ・パチスロの題材になっている人気のアニメ曲を紹介していきたいと思います。 わざわざパチンコ・パチスロでアニメソングを楽しむ理由 パチンコ・パチスロにおいて、名曲が流れるのは大当たりを引いたときです。 (蛇足ですが、最近は大当たりを引く前、つまり本来淡々と画面が変化するだけの状況下でも、好きな曲をずっと聞き続けられる台もあるんです。なんとありがたいことか。好きな曲を聞けるモードに変更すれば、当たってなくてもノリノリになってしまいます。パチンコメーカーさん、オタクの心理を掴んでいるなあと思いますね)台によっては、感動シーンや名場面とともに名曲を流してくれるんです。 自分の大好きなアニメの大好きなシーンを最高の音楽とともに突如見せられて、懐かしさのあまり感涙にむせびます。「うぐっ……グスッ……」ってなります。 だって、昔好きだったアニメを全て見直すのには時間がかかりますよね。時間を取って見返そうと思うことも少ないと思います。だからこそ、「ちょっと昔好きだったアニメを思い出したい」「少しだけ名シーンをおさらいしたい」そんな時にパチンコはぴったりなのです。良いシーンだけを抽出して、一番盛り上がるタイミングで至高の音楽を流してくれます。 パチンコ・パチスロでアニメの名シーンを見て、「ああ、田中くんと一緒にこのアニメにハマってたんだ……田中くんのこと好きだったな……」「劇場版を友達と見に行ったな……最近会ってないな、連絡してみようかな……」と走馬灯のようにいろんなことを思い出したりもするわけです。 要するに、パチンコ・パチスロは視覚と聴覚からオタクを昔にタイムスリップさせる、超感動タイムマシーンの役割を果たすんですね。エモいぞ、パチンコ。 パチンコ・パチスロになったアニメで使用されている名曲たちを一挙紹介 ここからは、パチンコ・パチスロになったアニメで使われている名曲たちを紹介していきます。 最近話題のアニメの主題歌も紹介しているので好きなものがあるか、要チェックです。 ちなみに選曲は筆者の独断と偏見に基づいています。紹介した以上にステキな楽曲がたくさんあるのは承知の上で、パチンコ・パチスロオタクさんは見てくれるとうれしいです。 北斗の拳 『北斗の拳』はパチンコ・パチスロの主要タイトルの1つで、シリーズがめちゃめちゃ多いです。 以下に紹介した布袋寅泰の「STILL ALVE」をはじめ、ゴリゴリした曲調の戦いたくなる(?)曲がてんこ盛り。クリスタルキングの「愛を取り戻せ!!」や上木彩矢の「ピエロ」も熱いですね。 https://www.youtube.com/watch?v=MruGBUTdsY8 ガンダムSEED 2023年8月にパチンコが初登場して以来、いまだに人気の『ガンダムSEED』。 T.M.Revolutionと玉置成実の名曲が堪能できます。感動シーンで使われる挿入歌「Meteor-ミーティア-」も聞けちゃいます。パチンコの演出、かなり凝っているので曲と合わせられるとファンは泣きますね。 https://www.youtube.com/watch?v=XiA3OcZLpok コードギアス 反逆のルルーシュ コードギアスのパチンコ・パチスロではオープニングソングの「COLORS」(FLOW)やエンディングソングの「モザイクカケラ」(Sunset Swish)が聞けます。メロディと歌詞とパチンコの演出が相まって、切ない気持ちになりますね。 https://youtu.be/H7cykKMpp_I?si=V853RKgrUYKkBiP5 新世紀エヴァンゲリオン いわずと知れた『エヴァンゲリオン』。2023年12月には『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の映像を搭載したパチンコシリーズの16作目が発表されました。「残酷な天使のテーゼ」をはじめとした名曲が聞けるのはもちろん、パチンコのために林原めぐみによって書き下ろされた曲も存在します(「終結の槍/終結のはじまり」)。すごい。 https://www.youtube.com/watch?v=qQeaCynRsEM 炎炎ノ消防隊 2023年4月に導入を開始した『炎炎ノ消防隊』。Mrs. GREEN APPLEの「インフェルノ」が聞けるのはうれしいですね。他にも、Aimerの「SPARK-AGAIN」やKANA-BOONの「Torch of LIberty」など有名アーティストの曲が聞けちゃいます。 https://youtu.be/wfCcs0vLysk?si=i6m2b1WtVhLMVXAE ゴールデンカムイ 2024年4月8日にパチンコの新台として発表された『ゴールデンカムイ』。MAN WITH A MISSIONの「Winding Road」が聞ける! まだ打ちに行ってないけど、ヒロインのアリシパさん可愛いんだろうな。 https://youtu.be/b-Ma_fd1aXg?si=ghEGc009GafFAXrH まとめ 書いていたらアニソン、聞きに行きたくなってきた 他にも、『交響詩篇エウレカセブン』、『創聖のアクエリオン』、『革命機ヴァルヴレイヴ』など、曲がよくてパチンコになっているアニメ作品を例を挙げたらキリがありません。(私が一番好きなのは『めぞん一刻』です) パチンコ歴が長ければ長い人ほど「今日はあの曲が聞けてよかった」「曲と演出が良すぎて、思わず泣いちゃった」とおっしゃいます。パチンコを音楽と映像を楽しむものとして利用しているのです。 この文章を書いていたら、今すぐアニソンをパチンコ台から聞きたくなってきました。 こうして今日もパチンコ店さんに足を運ぶのでした、おしまい。
岩本ゆうり
低糖質アイスアイキャッチ

「アイスクリームの日」に「低糖質アイス」を考える

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。ヲトナ基地で今回紹介する記事は「『アイスクリームの日』に『低糖質アイス』を考える」。シズリーナ荒井さんが書かれたこの記事では、アイスクリームへの偏愛を語っていただきました! みなさんまたお会いできましたね。アイス研究家のシズリーナ荒井です。私は、1歳1カ月から今日までにおよそ6万個以上ものアイスを食べては研究しています。5月に入りだんだんとアイス日和な日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか? 毎年「5月9日」は、アイスクリームの日というのがアイスマニアの間では常識ですが、なかなか一般的に定着していない気がしているのは私だけでしょうか。 そもそも、なぜ5月9日がアイスクリームの日なのでしょうか。 遡ること60年。1964年5月9日に、日本アイスクリーム協会の前身となる東京アイスクリーム協会が記念事業を開催したことが由来のようです。 日本で初めてアイスが登場したのは1869年新暦7月(明治2年)に町田房蔵が横浜の馬車道通りに開いた「氷水屋」で「あいすくりん」という名称で販売したという記録が残っています。ちなみに、なぜ「アイスクリーム」ではなく「あいすくりん」だったのか……。それは、当時の日本人が外国人(アメリカ人)の「アイスクリーム」の発音が「あいすくりん」に聞こえたためと言われており、味については1860年(万延元年)、幕府が派遣した「遣米使節団」の一人であった柳川兼三郎当清の「柳川日記」によると「珍しき物あり。氷をいろいろに染め、ものの形を作り、是を出す。味は至って甘く、口中に入るに忽(たちま)ち溶けて、まことに美味なり。之をアイスクリンといふ」と綴られていた。 参考:日本アイスクリーム協会 おそらく、私が1992年にファミリーレストランで生まれて初めてナタデココを食べた時の感動と同じであると推測します。そう考えるといろんな感動物語から生まれたアイスクリームが今日まで語り継がれていることを考えると感慨深いです。 美味しいアイスクリームはもちろんのこと、低糖質なアイスクリームの開発にもなかなかな苦労話が詰まっているようです。江崎グリコがかつて「健康」をテーマにアイスの研究・開発に挑んだ「カロリーコントロールアイス」(現在終売)。当時のアイスは高カロリーでおいしい商品も多く、「健康」を切り口にしたコンセプトのアイスを実現するのは容易なことではなかったと推測します。 2003年発売当時、カロリーをおさえながらも、必要な栄養素をバランスよく摂取するという考えを基に“カロリーコントロールアイス”が誕生してから14年後の2017年に“糖質コントロール”ブランド「SUNAO」として新たにブランドを立ち上げ、幅広い層に糖質をコントロールした商品でもおいしく食べてもらいたいというコンセプトの基でリブランニングしました。そして、2024年3月には新たなアイスとして「SUNAO Special」が「SUNAO」ブランドに仲間入りしました。「SUNAO Special」は、厳選素材と独自製法により、糖質を9.9グラムに抑えながらも、アイスの濃厚さをキープした味わいを実現しています。※一般社団法人『食・楽・健康協会』は1食で摂取する糖質量を20グラム〜40グラム、間食では10グラム以下にする“適正糖質”を提唱しています 「SUNAO Special」の商品ラインアップは「バニラ」「ラムレーズン」「バニラ&クランチ」の3種で糖質9.9gの文字がものすごく印象的です。正直、健康系の食品すべてに言えることですが、人間のカラダのことを考えた食品はどれも味気ないイメージがあったので、「SUNAO Special」もその枠組みの商品なのかと勝手に思っていましたが、いい意味でこちらの期待を裏切ってきました。 アイス研究家が語る「SUNAO Special」とは 最初に「SUNAO Specialバニラ」を口にした瞬間、脳汁があふれ出ました。生まれてはじめて、アイスを食べてカラダが超気持ちいいと思えたのです。率直な思いとして、従来のSUNAOブランドとは似ても似つかぬ別次元の美味しさでした。 濃厚さのインパクトが高級アイスクリームとほぼ同様な満足感(や背徳感)であり、それでいて糖質が10g以下は目を疑うレベルでした。しかも糖質9.9gという数字に開発担当者の強いこだわりを感じました。ギリギリ糖質10グラムに行くか行かないかのところまで素材を厳選しながらレシピを作られたと考えると、感動を覚えます。 試作だけでも全フレーバー合計でおよそ200回以上の苦労話 開発担当者に話を伺うと「SUNAO Special」は試作だけでも全フレーバーで200回は超えているそうです。特にバニラは、素材の味が前面に出てしまうため、味が人間の味覚にダイレクトに届いてしまうためレシピ制作に一番時間がかかったようです。 ラムレーズンのこだわりポイントは、レーズンをホールごとベースとなるアイスクリームの中へ混ぜ込むことで、レーズンの食べ応えのある食感とラムの贅沢な風味を楽しむことができました。 バニラ&クランチは、しっとりとした食感のクランチが贅沢にもアイスクリームの中に練りこまれており、どこからスプーンで掬って口に運んでもバニラアイスクリームとクランチの配合が口の中で同じになるように計算されているのではないかと疑うぐらいたくさん入っていました。 「SUNAO Specia」全フレーバーに通ずることですが、この味わいで糖質9.9gはやはり脳がバグります。ローカロリーアイスの需要が高まりつつあるため、今後は「低糖質プレミアム市場」がアイス業界で活性化するのではないかと予測します。 まとめ 日本でアイスが販売されてから今年で155年。アイスは単なる嗜好品で片付けられなくなってきているのではないでしょうか。カラダも喜ぶアイスクリームの今後の展開に期待したいです。
シズリーナ荒井

私の周りの偏愛者  VOL.1 果物を偏愛する男

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「私の周りの偏愛者 Vol.1 果物を偏愛する男」。山田ノジルさんが書かれたこの記事では、とある男性による果物への偏愛を語っていただきました! 果物を「まるごと」愛する男。 贅沢に盛り付けられた、色鮮やかな果物。普通ならそれが目の前に運ばれてくると「わあ!」と歓声があがるところだが、大学生のH君はこう言う。 「カットしてあるそれに、興味がなくて」 H君は果物マニアとして、そこそこ有名人である大学生だ(この春から新社会人なので、「大学生」は当時の話)。「一日中、果物のことを考えている」と話すH君の果物愛は、友人たちから「果物好きだよね〜」と言われる程度の自分と比べると、もはや違う世界線にある。 H君が愛を注ぐ果物は「まるごと」でなくてはならない。 「果物は、ひとつで三度美味しいんですよ! 例えばリンゴの感触。触るとプラスチックでは再現できない独特のスベスベした質感が、品種によっても少しずつ違うのがわかる。さらに、形、色、香り。しかも、食べられる! 植物としての果実にまず興味があり、味はあくまで構成要素のひとつでしかない。だから、まるごとなのが大事なんです」 手触り、ビジュアル、香り、味で4度じゃないか? と思いつつ、偏愛者特有のバイブスが心地よく、口をはさまず永遠に聞いていたくなる果物トークである。口をはさむ隙がないのは、少し前で言うところの「オタク特有の早口&マシンガントーク」でもあるのだが、偏愛の対象がユニークかつ人柄が魅力的であるので、聞いていて、ただただ気持ちがいい。どうかしているエピソードに爆笑することもしょっちゅうで、私にとって偏愛者との交流は至福のひとときだ。 イラストや絵画ではメジャーなのに! と嘆く男。 生クリームもカットされたフルーツもあまり好きではないH君の前で、うっかりパフェを注文してしまった。「愚の骨頂」と思われないかと心配になる。 「私は企画展や美術館を観に行くのも好きなんですけど、そういう美術作品って触れないじゃないですか。でも、果物は触れる、香りもある、おまけに味わえる。最高! 美術で言うと果物は、絵画のモチーフとしてもポピュラーですよね。スーパーでも必ず売っている食材です。なんで皆、そこからもっと興味を持たないのか、逆に不思議で。だから私は果物の面白さを、もっと発信していきたいんですよね」 後日LINEグループで日々の雑談をする周りの友人らへ「果物をどう思うか」と直球で尋ねてみると、こんな感じであった。 「果汁顔ってわけわからん表現あったよな」「静物の代表」「手に入りやすく長時間動かないが華やかなので便利」「古典的、無難、おもしろくするのが難しいモチーフ、という印象かなあ。雑貨アイテムだとファンシーになっちゃって、やっぱりおもしろくなりづらい」「文学だとエロいものを匂わせるモチーフに使うよな」「ちんちんぼるとみたいな名前の……」「アルチンボルド※だ。ちんちんぼるとって刻まれちゃうからやめて」 ※植物や生き物を組み合わせる「寄せ絵」で知られるイタリア出身の画家。果物や野菜で構成された奇妙な肖像画が有名。 会話に美大出身の友人が混ざっているので話の方向が製作物方面に偏りがあるのはともかく、H君に怒られそうな方向にどんどん転がっていくので以下割愛……。と、雑談の方向はさておき、日常的な存在であるがゆえ、面白要素を加えないと話題として盛り上がりにくいってことですね。 H君も言うように、果物は、日常に溢れている。珍しい品種などは数あれど、そこに強い興味を持つほうが珍しいだろう。果物の面白さよりも、H君自身のおもしろさが発信されているように思えた。「朝の果物は金」「ビタミン補給」「皿の彩りに」「最近はやたら高い」 それくらいの意識でしか果物を見ていない自分とは、向き合い方がまるで違う。 私自身は異国の食材や料理が大好きで、そうした趣味のつながりから、周りにはさまざまな「偏愛の人」がいる。ジャンルは多岐にわたり、サメ、昆虫、イカ、廃墟、ストリップ、パンダ、ちくわぶ、スナック等々……。自分の価値観と独特な感性で対象に向き合う偏愛者たちは皆、とても魅力的だ。ここではそんな人たちとの出会いや、交流の記録などを書いていこうと思う。 旬の果物で、親子喧嘩が起こるワケ。 果物があれば、いつでもウキウキだったというH君 魅力的ではあるが、その独特さは時に周囲を困らせる。H君は中学生時代、よく親子喧嘩をした。 「あーんーたーはー!! なんで、食べもしない果物をこんなに買うの!!」 まだ見ぬ品種を手にしてみたいという情熱から、お小遣いをつぎ込み、ネット通販で果物を買いまくっていたという。しかも観察がメインで欲望が食に向かないので、一応データのために数口は食べるものの、キロ単位で手に入れた果物を、食べきれるわけもない。 親が不在の時間を狙って時間指定で宅配を受け取ったり、コンビニ受け取りにしたりなどの工夫をしていたというが、思春期に親バレしたくないものが、エロ本ではなく大量の果物というのが、さらに親御さんを困惑させそうである。しかもそうやって受け取っても、日本の住宅のひとつ屋根の下で大量の果物を隠し通すことは不可能だし。 「あんたは一体、何を目指してるの!」 ケンカの最中そう聞かれても「えー、果物に関わる人」と即答するH君。「どうしてこうなった?」と突っ込みたくなるが、H君の話では「物心ついたときから、オモチャでなく果物で遊んでいた」というのだから、親としても納得オブ納得だろう。ぐぬぬ……と黙らざるを得ない、親御さんサイドに深く共感してしまう。 H君が記憶している、一番古い記憶は「果物箱に入っている自分」。「オレンジとナシのビジョンをぼんやり覚えていて……果物にハマったのは、あれがきっかけじゃないのか」。そう振り返っていた。 積み木を積み上げるがごとく、カゴに果物をあしらってご満悦の赤子。赤子というものは一時期、大人には理解できないものに執着することが少なくないが、そこから途切れず成長したH君。初期のそれが既に偏愛の芽だったとすると、覚醒早すぎだわー。曹丕(そうひ)※の生まれ変わりじゃなかろうかー。ちなみに、親御さんが果物に関係する職業というわけでもないそうだから、謎深い。 ※三国時代・魏の初代皇帝。大の果物好きであるエピソードが知られている。 そうして当然&必然により、大学は農学部へ進学。研究の道へは進まず、まずは消費の現場だと、この春からは果物の輸入・販売を行う超有名会社へ就職した。就職活動も「他の職種など考えられぬ」と1社のみ受け、見事採用された。偏愛力で我が道を作る、ロード・オブ・ザ・フルーツや。マジで、眩しいぜ。 私がH君と出会ったのは、友人宅での集まりだった。とある行事のテーマに果物が必要で、誰もが信頼をするその手腕で調達してくれたのだ(大分季節外れの種類もあったのに)。私は気まぐれに参加したので、何が行われるのか事前に把握しておらず、友人宅のリビング机上に積み上げられた果物の山を見て唖然となった。 H君は皆が「すごい!」と騒いでいるのには我関せずで、小ぶりな柑橘類をひとつ食べ「コレはマジで飛ぶ!」と力説していた。おや、そんなにヤバいブツなのか……うひひ……とウキウキで口にしてみると、拍子抜けしてしまった。確かにとても美味しいが、「飛ぶ」とまでの感覚が、正直わからなかったのだ。しかしH君は20代の大学生。こちとら子育てと仕事に疲れ果てた40代。コンディションも味蕾の数も、全然違うだろう。 若者に共感できなくなった自分への失望をひしひしと感じて肩を落としたが、その後深夜まで続く変態じみた果物談義に、ああこの人は偏愛偏差値エベレストなんだと理解した。同じ世界を見れなくて当たり前。別の世界線から偏愛の輝きを眩しく楽しませてもらおうじゃありませんか。 愛するリンゴ……だが、モチーフは愛でない理由。 並みならぬこだわりから「果物はスーパーで買わない」という。卸の市場へ常に足を運び、生活費をつぎ込む。「映画は高い、昼は100円のおにぎりで、でも果物は1回3000円前後ならOK」という価値観だ。 H君曰く、果物の中でも特にリンゴを愛しているという。以前も「おみやげに」とひとつ、真っ赤なリンゴをくれたことがある。あらやだ、お高そう。 「わーきれいー、ツヤツヤー」 頭の悪さ&ボキャブラリーの貧困さを丸出しにした感想を口にしても、「コレ、天然のワックスですよ! ホントすごいですよね〜!」とニコニコ嬉しそうにしている。頂戴したリンゴはビジュアルだけでなく、味も衝撃的だった。近所のスーパーでお手頃価格で並んでいるものとは、別次元。香りが濃厚で、酸味と甘みのバランスが絶妙すぎる。こんなものを子どもに食べさせたら、安いリンゴを食べてくれなくなるじゃないか! けしからん、実にけしからん! と、子どもが学校から帰って来る前に、ひとりで全部たいらげた。 好きなもののモチーフを身につける、というのもよくある楽しみ方だが、それへのスタンスもH君のガチ勢っぷりが現われている。リンゴの話からうっかり「アップル製品に親しみを感じたり、リンゴ柄のものを身につけたりするのか」という愚問を投げたことがあるが、「別に私自身が果物になりたいわけじゃない」と冷たく言われてしまった。「モチーフを買うくらいなら、本物を買う」。納得です。 以前H君がメディア出演した際も、「何かリンゴモチーフのものを持ってきてくださいよ」とリクエストされたことがあったという(一般には非常によくあるリクエストだ)。そこでH君が収録現場へ持って行ったのは「リンゴの品種が掲載されている専門書」。製作スタッフの「あー」という顔も目に浮かぶ。 「だって、リンゴといえばコレでしょう!」 いいぞ、もっとやれ。でも放映には、その本は映らなかったそうだ。 H君は取り寄せた果物を消費するために、度々食べ比べイベントを開催していた(就職のため、現在はいったん終了)。するとそうした集まりには、「自分も果物大好きです!」と、果物モチーフを身につけている人もたくさん参加する。H君はそれを見て「自分とは違う」と、大きな違和感を覚えるのだとか。他人の楽しみ方は決して否定しないものの、自分にはわからない感覚なのだと話す。 北海道へ旅行した際も、有名な観光施設は素通りし、お目当ての農園へ行きそこからまっすぐ帰ってきたという。「せっかく北海道まで行ったのに!」と笑う私に「いや、よっぽど時間があるときは行きますよ……」と少し困った顔をしていた。よっぽどじゃないと、行かないのか。 度々、そうした違和感を覚えるからだろうか。「たまに、一日中果物のことを考えていないような、普通の人になりたいときもある」という。しかし凡人サイドとしては、社会の中で偏愛が織りなす快進撃を、ぜひ見せてほしい。新たに仕事として関わっていく中で色々と変わっていくこともあるだろうけど、果物に対する偏愛級のまなざしはとても魅力的なので、いつまでも変わらず……いや、ますますパワーアップされていきますように。中年の身勝手な願いではありますが。
山田ノジル

【30日間チャレンジ】初心者が麻雀マンガだけを読んで、どこまで上達するかやってみた

どうもどうも! 前回、麻雀モチーフの可愛さを力説して以降、麻雀牌(マージャンパイ)の虜になっている私です。 あれ以降、あれよあれよと沼にハマって、気づけば麻雀ネイルしてたわよね……。仕事中に爪を眺めて「可愛い~~」ってやってます。 で、これだけ麻雀がそばにあれば、ゲームそのものに興味が湧いてきますよね。 興味本位で麻雀のプロリーグ戦「M.LEAGUE(通称Mリーグ)」を見るようにもなりまして……。 そしたら、私、びっくりしたのよ。 すごいのね、麻雀って。 ものすごいスピードでゲームが進むんですよ。 牌を手に取ったら瞬時にどの牌を切るか決めてすぐポイってするわけ。その速さたるや……!! ルールや役は全然分からないんだけど、解説や実況も面白いからつい見ちゃうんですよね。 で、見続けていたら、自分でもやってみたいという欲がふつふつと湧いてきまして。 でも「よくある麻雀の本は初心者は離脱しやすい」と聞いたのね。 そこで私は考えたんです。 「マンガだったら離脱せずに、楽しく麻雀を学べるのではなかろうか!!!」 これだわ!!! でも、ただマンガを読むだけじゃ面白くない……。 どうせなら、最短で上達するために、あれこれ条件を設けて実際に麻雀を打ってみよう!!! ということで、今回は初心者が麻雀マンガを読んで、どこまで上達するかやってみた! です! 私の成長を見守ってくだされ〜〜。 まずはマンガを決めるよ~~ まずは、私の麻雀デビューを華々しく飾るための麻雀マンガを決めようではないか。 有名なのは『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』『麻雀飛龍伝説 天牌(テンパイ)』あたり。麻雀を知らない私でも、このマンガの名前は知っているゾ……! 最近話題になっている麻雀マンガは『ぽんのみち』『雀児(じゃんじ)』ねー。 https://twitter.com/ponnomichi_pr/status/1753976670652924392?s=20 https://twitter.com/kazuki_hira/status/1656646861305044993?s=20 どうせなら、話題になっているマンガがいいなぁ~。 よし、インパクトで決めよう! (考え中~~~~) んんん!!!!???? 子どもが……麻雀をしている……??? ぽんのみちは、「女子✕麻雀」で割とありそうな題材。 雀児は「園児✕麻雀」とな。斬新で面白そう! よし、教科書は『雀児』に決定!! ちなみに『雀児』はマンガアプリ「少年ジャンプ+」で配信されていたマンガ。 https://twitter.com/kazuki_hira/status/1610473031381692417?s=20 全25話で完結済みです。 最初に言っておきます。この漫画、幼稚園児がお遊戯をするかのごとく麻雀を打ちます。 それも一人だけではなく、園児みんなが麻雀卓を囲んで解説までできるレベル。その中で桁違いに上手いのが主人公のジャンジ。そして、そのジャンジの担任なのがヒロインかつ麻雀初心者のナコ先生です。 (このとき私は知る由もなかった、このマンガが30日間チャレンジに大波乱をもたらすことになるなんて……) 30日チャレンジのルール さて、次は30日チャレンジのルールを決めます。 そもそも私が初心者過ぎるから無理なく挑戦できるように、経験者にアドバイスをもらいました~~! 雀児から役やルールを学ぶ 期間中はマンガを何度も読み直してOK 雀児で知った役の詳細を調べるのはOK CPUを使った練習卓で実践(東風:南場なし東4局) 場風などのルールは一旦無視 指定の「役」を作ることだけに専念する オーラスまでに1局でもアガれたらOK とりあえず、マンガを読んで得た知識を使って、「役」を作ることに専念すればいいのね……! よし、じゃあまずは第1週から! マンガを読んで練習してみるぞ~~~! ※今回、『雀児』を読んで麻雀牌の名前や基本ルールについても知識を得ましたが、本記事ではその経緯については割愛いたします ※本記事は、ガチの麻雀初心者が実践・執筆していますので、ツッコミどころも多いかと存じます。経験者の皆様におかれましては、温かい目で見守っていただけますと何卒ご幸甚です(土下座) 使用アプリは「麻雀格闘倶楽部Sp」に決定 そして、今回はスマホアプリを使ってプレイします。使用アプリはKONAMIが提供する、オンライン対戦型麻雀ゲーム「麻雀格闘倶楽部Sp」。 ちなみに、「麻雀格闘倶楽部Sp」は日本プロ麻雀連盟公認の麻雀アプリ。 アーケード版麻雀ゲーム「麻雀格闘倶楽部」シリーズを、スマホ版に展開したのが「麻雀格闘倶楽部Sp」です。初心者から上級者まで楽しめるのはもちろん、プレイ以外の要素も充実しているので、アバターの着せ替えを楽しんだり、限定アイテムをゲットしたり、アーケード連動してリアルでも楽しめたりする充実っぷり。 気になる人はぜひダウンロードしてみて! 公式サイトはこちら 麻雀人生開幕!え、ちょっと待って…!? 「華々しく私の麻雀人生スタートよ!」 まずは麻雀の知識をつけるためではなくて、純粋に読み物として『雀児』を楽しむぞ~。 1ページ目から 「大三元(ダイサンゲン)」 「ツモ」 「役満(ヤクマン)」 とか専門用語が飛び交ってる……! https://twitter.com/kazuki_hira/status/1654356843886678017?s=20 って、おおお? 大人に勝ったのは4歳児の主人公なの……? あっ、ヒロインのナコ先生かわいい〜! うんうん、園児と一緒に麻雀やるんだね~。 ……(1話目読了) …………(10話目読了) ………………(最終話読了) ……………………。 はい。 すでに『雀児』を読んだことがある人ならお気づきでしょう。 これ、単なる麻雀マンガじゃなくて、イカサマ麻雀マンガだわ!!!! 肝心の役の作り方の説明がないのよ。 麻雀って、図柄を揃えても役を作らないとアガれないのね。 いかん。これはまずい……。 初心者でルールもわからんのに、 イカサマの知識だけ増えて行くんだけど???? ほんで、主人公の雀児はほんとに4歳なんか? コナン的なアレで、中身は大人なんじゃない??? インスピレーションでこのマンガを選んだ自分が憎い(号泣)。 ストーリーは面白いけど、麻雀を練習するためのマンガじゃなかった……。 オワタ\(^o^)/ いや、ところどころルールの説明もあるし……。 あきらめるな私……! たくさん読んで、マンガからヒントを得るのよ!!! このままでは企画が頓挫してしまうので、 ルール説明がある回をマジで50回以上は読み直しました。 で、1話目に読者たちから作画ミスでは? と総ツッコミがあり話題になった、「断么九(タンヤオ)」ならいけるんじゃね? タンヤオは「麻雀牌の中で2~8の数牌だけを使って手牌を揃えると成立する役」。 1と9、字牌(ツーパイ/白発中、東西南北)は無視していいので、初心者でも揃えやすそう……。 最初だし、まずは、タンヤオを揃えてアガリを目指してみたいと思います! 気分はヒロインのナコ先生!! さぁやるわよ!! タンヤオ狙いでいざ実践! 早速タンヤオを狙っていくぞ。 この場合だと、まずは字牌がいらないのはすぐに分かる。 鳥さん(索子の1)もいらないね。 ふふふ♪ こうやって解説できるなんて、なんか、それっぽいじゃないの。 『雀児』を読み込んで、タンヤオの作り方は頭に入っているぞ~~~! この調子で役をじゃんじゃん完成させていきましょう!(麻雀だけに) チーとかポンとかよくわからないので、促されるままやっています。 この画像を経験者に見せたら「最初は鳴かない方がいい」って言われたよ! 鳴くって何だろうね? 手牌(テハイ)にいる鳥さんを最後まで手放しちゃダメってこと? でも、タンヤオって、1いらんやん? そして「タンヤオは他の役と組み合わせないと、単体じゃあまり使う機会ないよ~」とも言われたのだけど……。 「うるせぇ! こちとら、その域まで達してないんだわ!!」の気持ち。 まぁ、始めたばかりだしね。 あれこれ詰め込んで苦手意識芽生えてもですし。 まぁいいか、進めよ~~ってしていたら、相手にあがられてしまった……! 残念! はい、みなさん! ここから地獄のはじまりです。 4日目までタンヤオを揃えることができませんでした……!!!! アプリではいろんなモードがあるのだけど、 初心者の私にオンライン戦はハードルが高すぎるので、練習場でCPU相手にプレイしています。 仕様は東風(トンプウ)。東風とは、南場なしの東4局まで。つまり、4試合で1セット。 1日のプレイ回数は大体10セット。 ということは、1日に40試合をこなしている計算です。 で、4日やってもタンヤオならず。160試合だぞ???? 麻雀はとにかく実践あるのみとはよく言ったものです。 あがれない理由ははっきりしている……。 役が完成するまでに相手にあがられてしまうのだ。 ほら、これとか惜しいじゃん。 萬子の3待ち これも、 萬子の6、筒子の5.8待ち これも、 索子の4待ち ほんと「あともう少し~!」というところであがられてしまうんですよね~。 でも、回数を重ねていくうちに、タンヤオの作り方は完璧に覚えた! 毎日何度も雀児をみて、牌の名前やルールも確認したしね。 あとは、そのときを待つのみ……!! 162試合目、ついにそのときが…!!! 実践5日目。 今日もせっせとタンヤオを目指していきます。 もう、5日目になるとスマホ片手にテレビを見たりして完全に流れ作業。 全然あがれないから、次の役を覚えて手数を増やしたいよね〜。 なんて思っている矢先、ついにチャンスが……! 開始早々、4巡目にまさかのーーー!! アガリ!! きたーーーーーーー!!!! ついにタンヤオであがれたぞー!!! 888888888888 この通り、タンヤオであがれています!! そしてドラ1もついている。 ですが、初心者なのでこのドラ1が何なのか分かっていません! ドヤ 役を作るとそれに応じた点数がもらえることは分かっているのですが、これも、ドラと一緒で今後勉強していかないとですね。 総評 思った以上に成長がゆっくりだったため、30日麻雀チャレンジはここでおしまいです。 麻雀を初めて1週目にしては、基本ルールとタンヤオを作ることができたので、上出来ではないでしょうか? このあと日課にしているMリーグを見ていたら、タンヤオと他の役を組み合わせた複合であがっているのを見かけました。 役をひとつ覚えるだけなのに、解像度があがるので今後さらに楽しくなっていくのかなとわくわくしています。 さぁ、次は「別の役」を作ってみたいと思います。 またしても『雀児』に振り回されることになるのか? 続きがあれば、お楽しみに! 協力:コナミアミューズメント ©Konami Digital Entertainment ©Konami Amusement
中山ぽてと。

自衛隊の「謎水装置」回避は消費者保護へと繋がるか

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「自衛隊『謎水装置』回避は消費者保護へと繋がるか」。黒猫ドラネコさんが書かれたこの記事では、疑似科学への偏愛と、それを注視することについて語っていただきました! またもや「疑似科学」の疑いに対して世間の厳しい目が向けられることになりました。 今年1月、陸上自衛隊練馬駐屯地に「NMRパイプテクター」なる磁気活水器が導入されるという入札公告の情報が科学者ら有志によって発見され、ネット上で大きな話題に。国会議員まで動く事態に発展し、すぐに入札が回避されました。 論争が起こる「謎水」 この活水器は日本システム企画株式会社が1995年から販売しています。核磁気共鳴(NMR)により水を活性化することで水道管のサビを取り、外部電源もメンテナンスも不要で「建物の中にある給水管や空調管など水配管の寿命を建物寿命まで延命」でき、その累計実績は4300棟以上(2022年3月現在)。ただし、これらは販売元のホームページなどからの引用です。 価格は1台約30万円~数千万円。公的機関や分譲マンションなどを販売先とし、既に病院や大使館などでは導入が確認されているそうで、なんと同社ではバッキンガム宮殿への導入も実績として挙げていました。 こちらが数年前から、ネット上では「疑似科学ではないか」と厳しく指摘されています。ネット上では「謎水装置」と呼ばれるようになりました。 「謎水装置@自衛隊」togetter https://togetter.com/li/2299936 前回のテーマだった「EM菌」と同様、有識者らと販売元などとの間で、たびたび論争が繰り広げられているのです。 販売元はホームページ上で「効果の測定には様々な方法に対応し、いずれも数値で観測できるため一目瞭然の効果です」などとしていますが、その実験での再現性などには疑義があるようです。狭い範囲で称賛されていたものが、疑念を抱いた名もなき有志によって分析され、それにまた反論が湧き上がり……。 たとえば活水器の現物を入手したとして分解しちゃう模様をYouTube動画にする者が現れたかと思えば、すぐに販売元が「偽造品ではないか」と表明していました。どちらの言い分に理があるかは置いといて、前回も言いましたが、こういう案件は私の大好物です。(きっと好きな人も多いはず) (前回記事) https://www.maruhan.co.jp/east/media/new/189 ゆっくり解説「NMRパイプテクターを分解してみた」 https://www.youtube.com/watch?v=HEkh9PYTX_U NMRパイプテクターについてのお知らせ「当社製品の偽造品にご注意下さい」(日本システム企画サイト) https://www.jspkk.co.jp/jp/product-caution/ 謎水まんが かくいう私も、数年前からこの活水器や販売元の動向をウォッチする方の発信から、この問題を知ることができました。その名も「謎水さん」。自宅マンションに活水器が設置されたことがきっかけで「ニセ科学」をめぐる問題に取り組むようになった彼は、自治体への取材なども精力的におこなっています。 マンションに導入しようとする管理組合とのやりとり、販売元とのいざこざ、消費者センターへの問い合わせなどを「謎の水装置まんが」としてネット上に発表し、注目を集めました。この漫画は当事者の目線から、しかも誰の身にも起こり得る危機に関しての分かりやすさが重視されています。ニセ科学の手法や構造なども取り上げられていました。 検索して謎水まんがに辿り着けば、「こんな指摘をされている装置だったのか」と、多くの人が立ち止って考えるきっかけにはできるでしょう。 (謎水の水装置まんが)URL https://nazomizu.com/html/comic/main/ それでなくても消費者問題を顕在化させるのは意義のあること。実際に製品に接した人からの賛否両論があって、それらを判断材料にして選択することによりわれわれは健全な消費生活が送れるわけですからね。どんなシロモノでも、販売元の一方的な言い分だけを信じちゃダメなんですよ。 批判者への牽制 しかし当然ながら、売りたい側もあの手この手で「ネットの噂」を打ち消しながらPRするわけで。そもそも疑わしい点があろうと、なんやかんや言いくるめられるから公的機関が導入を検討するまでに広がるのです。密室で契約を取りつけたなら、疑念を抱いたり指摘したりする人が契約者の周囲にいても気付かないと思います。それこそ入札公告でも見つけない限りは。 それに加え、日本システム企画は自社サイト内などで批判した科学者らを名指しで牽制しています。悪評を削除するようにと、訴訟をほのめかす手紙を送るなどしているようです。これが製品への疑義を委縮させる目的だとしたらいかがなものでしょうか。 消費者基本法では「批判的意識を持つ責任」「主張し行動する責任」などが掲げられています。それらを打ち消そうとするなら、余計なお世話かもしれませんが、ますます不信感が募るだけだと思いますよ。 この件に限った話ではなく、こうした動きは「疑似科学の疑い」にはつきもの。完膚なきまでに納得させる科学的根拠を出せば済むはずなのに不思議ですね。それが出せないなら、指摘する声や疑いの目のほうが強いのは当然でしょう。 問題視が認知されるか さて、今回の自衛隊の導入キャンセル騒動は、この活水器が「なんだか問題視されているもの」として、ネットだけでなく実社会に広く認知される分水嶺となるのでしょうか。 販売元の広告が都営地下鉄の車内などに出され続けていることについて、東京都議らが情報収集を始めています。感触を聞いたところ、例えば都の施設で導入しようとした場合であれば「陸自と同じように入札契約制度としてNGになる可能性は高い」。ただ、東京都交通局や生活文化スポーツ局消費生活部などに問い合わせても、明確な広告のガイドライン違反ではなく対処しきれていない状況とのこと。どうやら広告に異議を唱えるような問い合わせがあるたび「内容の微修正」が繰り返されるということで、「制度の隙間を掻い潜っている」そうです。 消費者庁の見解では、優良誤認が生じる恐れなどの景品表示法の適用は一般消費者の個人向けに限られ、マンション管理組合や企業が相手では対象外。それもあって、たとえば「外部電源なしメンテナンス不要で半永久的に」などとする強めの文言があっても、自治体は広告をどうにもできないのです。 自衛隊が導入を取りやめる程の事態になりながら、販売元の宣伝は今日も堂々と万人の前に出されています。消費者保護とは何なのかを考えさせられますね……。 ただ、この問題については既に国会議員が動いていて、防衛省、消費者庁などのヒアリングも行われたようです。自治体や国もこれから注意していくことになるでしょう。引き続き、有志の厳しい目で製品の評判を俎上に載せ続けることで、本格的に条例や法の整備へと巨石を動かすことに期待したいですね。 こうした流れに抗いたいのであれば、繰り返しになりますが販売元は「恫喝」みたいなことをせず、しっかり科学的事実を提示して堂々としてほしいと思います。科学が風評に負けるようではいけません。科学じゃないなら、知らんけど。  少なくとも私は、自宅マンションの集会の案内があるたび「うちは謎水装置じゃないよな」と修繕の資料などをしっかり確認するようになりました。皆さんのお家や、学校や職場はどうでしょうか。
黒猫ドラネコ
その役目についていることによって得られる特別の利得や特権

人の経費で高級和牛とスーパーの牛肉を食べ比べてみた

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「人の経費で高級和牛とスーパーの牛肉を食べ比べてみた」。普段は高級な食材を味わう機会があまりないという、文筆家のまくるめさん。そんなまくるめさんが、いつも食べている牛肉の約10倍の価格の高級牛肉を食べたとき、一体何が起きるのか!? この記事では牛肉への偏愛……かと思いきや、誰もが好きであろう「〇〇」への偏愛を語っていただきました! 先に謝っておきます お詫びして頭を下げる男性の無料写真素材/ぱくたそ えー。今回はタイトル通りの内容でございます。 これは、「三田牛」と「但馬牛」という非常に美味しい高級和牛を人様の経費で購入いただき、「タダで食べられてンマーイ! いやあ、人の金で食べる肉は最高ですなあ。それはそうと、貴方なんでこんなもの読んでるんですか?」という内容の記事です。ほかに仔細なし。文句を言われると困るので、先に書いておきました。 なので先にとりあえず謝っておこうと思います。 申し訳ございません。 以下、やんごとなき読者の皆々様におかれましては「何だこの書き出しは?!」「俺は何を読まされているんだ?」などといった感想が脳裏を去来すると思います。ですから、わたしは先に謝っております。 どうかコメントのさいは、この点を加味し、厳しいお言葉をいくらかお控えになって、地蔵菩薩のような心持ちで感想を書いていただきたく存じます。はい。そうです。先に謝ったやろがい。と、こういうことでございます。 ……あ、怒ってます? お怒りの方は、とりあえず、かわいい猫ちゃんなどを思い浮かべながら5分ほど深呼吸してからコメントされるとよろしいかと存じます。15分だとなおよろしいです。 というのも、怒りをつかさどる物質であるアドレナリンは、動物にとって緊急事態に対応するためのホルモンです。その性質上、作用はあまり長続きはしない傾向があり、時間経過で落ち着いてきます。 カッとなっても、しばらくすると後悔する原因がこれです。これが最近流行りのアンガーマネジメントというやつの原理でございます。そんなわけで、あまり怒らないようによろしくお願いいたします。お願いしましたよ。 ……さて、初手からもうグルメ関係ないだろって話を始めてしまいました。なぜわたしは高級牛肉の味について書けと依頼主から注文されたのに、アドレナリンの話から入っているのでしょうか? そして読者であるあなたは、なぜそれを読まされているのでしょうか? われわれは今、あきらかな不可解に直面しています。 しかし、もはや日常でこの種の齟齬は珍しくはないということに注目すべきです。上記の乱文は、実はそれを表現するためのいわばデモンストレーションだったと言ってもいいかもしれません。 考えてみてください。現代社会は自己増殖的に複雑になりつづけています。もはや社会全体を見渡せる人間は一人もいないでしょう。見ているあいだにも変化し続けています。このような時代にあって、前述の問題などは大したことではないわけです。 では、わたしたちに必要なことはなんでしょうか。それは、むしろ急速な時代の変化のなかでも不変なもの、少なくともそうであると信じる価値のあるものを、ゆっくりと時間をかけて、ひとつひとつゆっくりと見つけていくことではないでしょうか。 そのような、時代のシフトに対してロバストな、いわば「定点」をいくつ見つけられるか。それがこれからの人間がやるべき仕事だと思います。 いつの時代もみんな大好き、それは……! そんなわけで、いつの時代も変わらないものを見つけましょう。 その例をひとつ、わたしは提示します。 わたしは一応、当コーナーの原稿を依頼されるにあたり、依頼主さまからは文章のテーマを「偏愛」とするよう仰せつかっております。つまり、わたしが個人的に愛を注ぐものについて書くというテーマの記事なのです。これは。なので第1回は、アリと共生する不思議な植物について書いております。 さて、ここで、もしかすると理解力がプラトン並みに優れている方はこう思われたかもしれません。「え? それじゃあ、今回のタイトルとテーマが合わないんじゃないですか?」と。 そうですね。わたしは牛肉が好きですが、「あれば食うし、食べれば美味しい」というぐらいで、偏愛というほどのものではありません。いわば牛肉に対しては必要十分な愛情しか感じていないと言えます。はい。牛肉とは身体だけの関係です。 では、この記事は「偏愛」を扱っていないかといいますと、実はそうではないのです。というのも、この記事には一見するだけでは分かりづらい裏のテーマがあるからです。 では、隠されたテーマとはなんでしょうか? ヒントを出させていただきますと、これはわたしだけではなく、日本人全般がだいたい好きだと思います。いや。もっと主語を大きくしてもいいかもしれません。主語を東アジア人全般にしてもそれほど間違ってるとはいえません。 いや、あるいは全世界的に、人類はこれが大好きと言っていいと思います。それぐらい主語を大きくしても大丈夫でしょう。さらに言えば、過去の人類も現代人も、そして未来の人間も、だいたいこれが大好きだと思います。 ここまで主語を大きくできる「それ」はなんでしょうか? え? わかった? ふむ。だとしたら、おそらくあなたはこう考えたのではないでしょうか? この話の流れとタイトルから、これしかあり得ない、と。 問題の答え、それは「人の金で食う肉」だろう。と。 ……惜しい! 非常に惜しい! それは正解ではありません。しかし正解に近い。いくらかのミスリードがあったとはいえ、もしあなたがそう答えたのなら。あなたは非常に物事を分かってらっしゃると言っていいでしょう。いわば分別というものがある。重要な物事の多くを人生から学んできたことでしょう。 では正解はなにか? ……答えは「役得」です。 スポンサーから物品を寄付してもらいました。これは売上になるのでしょうか?の無料写真素材/ぱくたそ そうなの。 ためしに「役得」を辞書で検索すると「その役目に従事しているために特別の便宜があって得られる利益」とあります。ああ、もうこの響きだけでたまらないですね。特別の便宜! なんと甘美な言葉でしょうか。 世間には「役得」が溢れています。大きいものから小さいものまで。そしてみんな、基本的にはこれが大好きです。 たとえば、食品を扱う仕事をしていると、余りものが食べられることはよくあります。まあすぐに嫌になるとはいえ、役得の例と言っていいでしょう。 たとえば、株主総会というきわめて真面目で資本主義の根幹たる会合に行くと、自社製品がおみやでもらえたりします。 たとえば、出張先で会社の経費で特定のホテルに泊まると、領収書と一緒に不思議なクオカードがついてきます。 たとえば、金融機関につとめていると、ふしぎなお金が……冗談です。こないだ捕まってましたね。 まあ最後のはともかく、「役得」はもうみんな大好きです。なにしろ「わたくしは天下国家のために働いている真面目な社会人でございます。あー大変だ。実に忙しい」みたいな顔しながら、いい思いができるんですからね。コタツでアイス食うようなもんなんだ。ええ。 さて、役得でいうと、ライターなんてのは美味しい思いをする機会が少ない仕事の部類です。人と違った経験ができるとか、平日に動けるとかはありますが、そんなのねえ、クオカードやマイルに比べたらねえ。 そんなわたしが、今回、記事の執筆にかこつけて人様の経費で肉が食えるんですからね。盛り上がらないはずがない。 えっ、共感できない? 人の金で食う肉が嫌い? 特殊な思想をお持ちの方かな? 最高級の牛肉、届く 今これを書いているわたしは、まだ肉を受けとっていない状態にあります。 そんな私がいま原稿の片手間にフライパンにのせているのは、消費期限が3月17日の鶏むね肉です。ちなみにいまは3月22日となっております。半額引きでとりあえず買ったんだけど、忙しくて自炊できなかった。5日はけっこう自分の中でもヤバいほうです。 古くなった鶏肉って、だんだん味が鶏卵に似てくるんですよね。タンパク質が分解してるからなのか、卵の黄身みたいな風味になる。流行りの熟成肉かな。しかし5日はちょっと自分にとっても未知の領域です。少量食って一日待ち、体に異常がないか確認し、それから残りを食おうかな……。 ……と、思って毒見したところ、味覚と嗅覚が揃って「あかんわ」と言いました。異臭を通り越して、なんかの薬液みたいな臭いがします。あと、味がなんか苦い。肉が苦いのは初めてです。もったいないけどあきらめました。救急車とか呼んで社会のコストを使うのも申し訳ないですからね。ガイアが私に捨てろと言っている。 ……とまあ、そんなことをやっていたら、最高級の牛肉が届きました。 その役目についていることによって得られる特別の利得や特権。(「デジタル大辞泉」より) 今回、わたしの懐を痛めずにいただけるお肉は「但馬牛」と「三田牛」という和牛でございます。末端価格は100グラムあたり1,000円を超えています。たかい。麻薬かな? ちなみに、大麻の末端価格は1グラムあたり5,000円前後(検索により出てきた参考価格)で、純金の価格は1グラムあたり12,000円弱(執筆している2024年3月時点、田中貴金属のサイトをもとにした参考価格)、金属プルトニウムの価格は1グラムあたり165万円(アメリカ合衆国エネルギー省の2020年度の資料を参考に1ドル150円とした参考価格)なので、麻薬や純金やプルトニウムに比べたら安いですね。 なお、「普通のお肉も買って比較してください」ということで、別途そのお金もいただきました。近所のスーパーでオーストラリア産の輸入牛肉、100グラムあたり200円ぐらいのものを買わせていただきました。この比較用の一般牛肉ですらわたしにとっては高級食材という事実! ちなみにふだん私の食っている肉の値段は、値引きシールなども加味してだいたい100グラムあたり44~100円ぐらいです。グラム価格が3ケタになると高いと感じますね。つまり今回のお肉はわたしが普段食ってる肉の10倍の値段です。気迫充分です。 ……なんだろう。こんなこと書いてると、ふっと思うんですよね。 わたしもけっこういい年なんですけど、周囲の同年代の人とかもうけっこう偉くなってたり収入もいいんですよね。その分自分はやりたいことやってきたんで全然いいんですけど、こういう生活の基本のカードがまず違うんだなーってなりました。 ネットで有名な白木屋のコピペってのがあって、まあ出世した人が出世して無い人と白木屋で飲むみたいなやつなんですけど、それに近い気持ちというか、わたしだけ上京直後そのままで、時間が止まったみたいだなって思いました。たぶんみんながどんどん強くなっていったときのヤムチャとかって、こんな感じだったんでしょうね。 普通の牛肉と、高級和牛は何が違うのか? 親の目より見た、オーストラリア産の赤身 まあ重い話はさておき、肉を食いましょう。まずは比較対象のオーストラリア産の肉と、同じ形状の高級和牛の薄切り肉2種を食べ比べてみます。 まず食べてすぐに分かるのが香りの違いですね。とくに脂の香りです。よく、肉の味にはその動物が食べてきたものが反映されると言いますが、正確には脂に反映されるといったほうがいいでしょう。 油脂の質は食品の香りに影響します。脂はその性質上、揮発性のある香り成分を溶かし込む形になりますからね。最近はカップラーメンなどにも調味油がよく利用されていますが、脂をうまく利用することで従来は維持しにくかった香りを再現する意図を感じます。このように脂は「香りの運び屋」と言えます。 さて、オーストラリアの安い牛肉の方は、特有の臭いにおいがそれなりにあります。今回、味を分かりやすくするために何もつけずに食べたので、余計強く感じます。 輸入牛肉はしばしば牛肉特有の臭いが強いですが、これは草食動物の体内で牧草などが発酵した結果生まれた物質に由来します。「草食動物の肉は臭いがない」っていうのは、実は俗説なんです。「グラスフェッド」と呼ばれる牧草飼育の牛はとくに強くなります。 これ自体は異常なものではなく、スパイスやワインやトマトなどを用いる料理ではむしろコクになる面もありますが、日本人はこれを好まない人が多いのも事実。とくに和風のあっさりした味付けとはあまり相性がよろしくないですね。 一方で和牛の方はさすがに日本人好みというか、マイナスに感じる臭いはほぼありません。もし何も知らずに食べたら別の生き物の肉と感じるでしょう。脂の香りはミルクとナッツをあわせたような感じで、ホワイトチョコレートを思わせます。 食感についても、和牛の方はやはり口の中で自然にほぐれるような感じがあります。これはやはり肉の元々のやわらかさにくわえ、均等に入ったサシによるものが大きいでしょう。味も、コクを感じさせつつも、脂のわりにしつこくない印象です。個性はあるのにクセはないという品を感じるお肉でした。 但馬牛と三田牛も食べ比べてみた 高級和牛を焼いたもの さて、次に厚めに切られた肉で、和牛同士の比較をしてみます。今回、但馬牛と三田牛というそうです。わたしは肉の産地名とかにうといので、どこがどうとかはあまり分からないのが正直なところです。 いただいた説明によれば、どちらも兵庫県の牛肉ですが、三田牛のほうは但馬牛として生まれ育った子牛の中でも、特に一定の基準を満たしたものらしいです。まあ洞窟マムルみたいなもんですかね……。 その2種類の食べ比べ……ということなんですが、さすがにこのレベルになるともうどっちもうまいから正直わからない。 ただ脂の風味としては、但馬牛よりも三田牛のほうがより淡い感じというか、脂が多いわりにさっぱりとした印象が強いですね。その分、後味としてミルキー&ナッツィーな風味が追ってくるのが、よりはっきりわかります。 肉を食って救われよう 虹色の背景のぼやけた画像/O-DAN そんな風に味わっていると「あの感覚」がやってきました。 糖分を一気に補給するとシュガーラッシュになるのと同じ感じで、牛肉を食べると、謎のテンションが来ますね。牛肉ラッシュというか。脳汁が出るというやつです。 今、血の中をグングンと肉の分子が巡ってる感じです。これを書いている今は夕方5時ですが、この時間になるまでなにも食ってませんでしたから、もうすごいものがあります。 やっぱちょっと薬物性があると思うなこれ。チョコレートやコーラや中トロの握りに薬物性があるのと同じようなものが和牛にもあると思う。 どんどん、和牛がキマってきました。 今、これを書くのに向き合ってるモニタが、もうぱあっと明るく見えてきます。文字の輪郭もいつもよりシャキッとしているし、キーボードのキーは指に吸い付くようです。白く光る液晶の画面を見ていると、オレンジからグリーンにかけての光彩がうっすらと見えます。 体内に意識を向ければ、和牛がおさまった胃がそのぬくもりを抱えながらゆっくりとリラックスし、暖かい光のような意識の波が脊椎に沿うようにゆっくりと上がってきます。思わず背筋をすっと伸ばしたくなる。先ほど和牛が通った喉を息が通っていくのが心地よく、生命を感じます。 目を閉じると、やがて意識は額の骨の内側に集まり、ムズムズとした感覚とともに黄色い青の光を放って脳天に抜けていきますね。満たされた気持ちになります。あがなわれた気持ちとでも言いましょうか。この感覚は全ての宗教の根幹だと思います。 結論ですが、三田牛は宗教でした。
まくるめ
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「EM菌」に見るトンデモ観察の醍醐味

偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「『EM菌』に見るトンデモ観察の醍醐味」。黒猫ドラネコさんが書かれたこの記事では、疑似科学への偏愛と、そんな「トンデモ」を観察する醍醐味について語ってもらいました。 「トンデモ・ウォッチャー」を自認して数年が経ちます。ただのライターですが、ネット上で変なものを見つけては調べ、自分なりに噛み砕いてから皆さんに伝える趣味を持っています。 特に、どう考えても変なのに「これは素晴らしいものだ」として宣伝されまくっているものが大好物。その発案者・開発者や、一部の「信者化」した方々が不自然なほどに盛り上げようと画策しているものです。それは疑似科学やニセ医学などによく見られる反応で、私はそうしたものを信奉する人間の弱さや脆さに、ものすごく興味をそそられるのです。 EM菌への賛否 「EM菌」をご存知でしょうか。正式名称はEffective(有用な)Microorganisms(微生物たち)の略で「有用微生物群」だそうです。 frolicsomepl/Pixabay 1980年代から琉球大学の比嘉照夫名誉教授らによって研究がなされ、関連製品の一般販売が始まってからは今年でちょうど30年を迎えるとのこと。多くは液状でボトルなどに詰められ、堆肥を作るためや、臭い消しや、水質改善などに使われてきたようです。商品には飲料などもあり、過剰な自然派やオーガニック信仰が厚い方々などの間で親しまれつつ、世界各国にも進出。愛好家から「地球の善玉菌」なんて呼ばれるほどに絶賛されていました。 EM推進の議員連盟なども立ち上がるなどの勢いはありましたが、効果や効能についてはたびたび賛否両論が巻き起こり、実験の結果が出されたり、否定されたりを繰り返してきました。時折メディアで取り上げられたりすると賛同者が効果を誇り、批判者は「うわっ! 出たEM菌!」と反応するせめぎ合いがあったのです。(こういうのが、私にとって「これだよ、これ」となる垂涎のネタです) 現在のSNS上でのEM菌への反応は「なんか胡散臭い」が主流でしょう。そのきっかけとなったのは、東日本大震災で起こった福島の原発事故後に、EM支持者らにより「除染に使える」「結界を作る」「バリアになる」などと過度な言説が広がったことでした。 もともと微生物由来なわけですから、水質を変化させたり、生ごみから肥料が作れるという理屈ならまだ分かります。しかしEM推進派が、「放射能を消滅させる」みたいなことまで主張し始めたもんだから、多くの科学者や有識者の目に触れることになってしまい、ヤバさが明るみになった形です。 ついに2013年には、提唱者である比嘉氏が「EM菌は神様」とコラムで発信。人智を超えた効能などを謳ってしまいました。それまで知らなかった人も、さすがに触れてはいけないと思ったことでしょう。この香ばしい匂いばかりは消せません。 chriswanders/Pixabay 訴えられた批判者 その危うさに気付き、EM菌が「疑似科学、あるいはニセ科学」であることに警鐘を鳴らし続けてきた人たちがいます。驚くべきことにEM研究機構などの推進派は、この批判者や記事を掲載したメディアに対して次々に圧力を掛けました。真っ当な指摘や、異論を述べた人たちを恫喝するように訴訟を起こしてきたのです。 呼吸発電さん(ペンネーム)は、2017年に刑事告訴されたことにより書類送検されましたが、直接の捜査は行われず、嫌疑不十分で不起訴となりました。一連のEM推進派の所業などについては、2022年出版の『カルト・オカルト 忍びよるトンデモの正体』(あけび書房)に、「EM菌は科学か宗教か―万能を主張する『EM菌』の宗教的な側面とその変か」として寄稿しています。 故郷の福島でEMが推進されていたことを目の当たりにして注意喚起を開始した呼吸発電さんは、「宗教的な側面を持つニセ科学のEM菌が、日本の科学技術として、世界中に広がり定着するかも知れません。これからもEM菌に警鐘を鳴らし続ける必要があると思います」と、寄稿を結んでいます。今もなおSNS上やまとめサイトなどで、積極的に投稿を続けています。 https://twitter.com/breathingpower/status/1769879794555211999?s=20 そして忘れてはならないのは、元・法政大学教授の左巻健男氏の戦いです。前述『カルト・オカルト〜』の企画発案者。理科教育、科学コミュニケーションのスペシャリストとして多数の著書がある同氏は、教育現場や暮らしの中に入り込む「ニセ科学」などに言及し続けてきた第一人者でもあります。 左巻氏は2015年にEM推進機構の人物に名誉棄損で提訴され、地裁、高裁ともに勝訴(最高裁で棄却)。18年には、左巻氏のEM批判の発言があった市民向け講演の記事を載せた中日新聞も提訴されましたが、こちらも地裁で勝訴。EM側は科学的な裏付けがあるとして査読論文を盾にして控訴しましたが、高裁判決でも「現時点では科学的に実証されていない」などとし、中日が勝訴しました。さらに19年にも再び左巻氏自身がEM側から名誉毀損で提訴され、地裁で争われていましたが、昨年6月に棄却されました。 EMが批判者を訴え、ことごとく敗れたのです。司法が科学を判断するわけではありませんが、論文まで持ち出したにもかかわらず科学的根拠を認められなかったことが、現在のEMの低評価を決めるものとなり、規模縮小に繋がったといっても過言ではありません。毅然と立ち向かったお二人だけでなく、二人に連帯するように「ニセ科学」への厳しい声は増えていきました。 Hans Reniers/Unsplash ネット上での評判はもはや覆るものではありませんが、その活動自体が消え去ったわけではなく、つい最近も関係する特定非営利活動法人が能登半島地震被災地の支援として、臭気対策などに使えるらしい「EM活性液」なるものを希望者に無料提供することを発表していました。こうした活動を受け入れることは「被災地で使われた」との疑似科学の実績にされかねません。 全くの別件ですが最近、田んぼに特定外来種のジャンボタニシを撒いての稲作を称賛したものが炎上していましたね。「自然に優しい」との勝手な思い込みが、実害をもたらす例だと思います。 また、EMの本拠地である沖縄などを中心に「プールの浄化」などの名目で理科の授業に取り入れていたり、「EM団子」を作って田んぼに撒かせたりしていることを時折、肯定的な報道などでも目にします。 自分で選択できる大人とは違い、子どもたちは与えられる機会を正しさに基づくものと思ってしまいます。授業や行事の中では疑うことも難しいでしょう。親や教員がきちんとした科学リテラシーを持っていてもらいたいものです。 Tho-Ge/Pixabay トンデモ・ウォッチのすすめ そうは言っても、大人でも何かを「良いものだ」と信じてしまう心理は複雑。そして、何かを宣伝されたときに多くの場合、善意を感じることでしょう。時には科学が全てではない事情もあって、無償なら受け入れてしまうこともあると思います。 誰もが科学的な知見を有するわけではないし、善悪もその場で断定できるものばかりでもありません。ただそれでも、無関心にならずにたくさんの目で「疑似科学、ニセ科学」を観察する必要があります。疑似科学やニセ医学などとの戦いやせめぎ合いがあることを知ること、それは自分や周囲を守ることに繋がるのです。 社会全体で推奨されているものと、ごく一部だけで称賛されているものの見極めはそんなに難しくありません。ちょっと穿った見方で、「妙に持ち上げている人たちがいるけど、なんだか変じゃないか」。そうやって調べてみるからこそ浮かび上がるものがあります。 そうして、「これってやっぱりおかしかったんだ」と理解できることこそが、トンデモ観察の醍醐味と言えるでしょう。変なものにハマって盛り上がる人たちを観察することは、決して良い趣味とは言えませんが、「ああはなりたくないな」と立ち止まって観察する癖がつくと思います。 何より、変なもの自体への誤りを指摘する各分野の専門家とSNS上で繋がることは大きな喜びになるはずです。SNS上には「名もなきエキスパート」もたくさんいます。私自身もそういった人たちの発信に勇気付けられてきました。過度な信頼は疑似科学などへの信奉と表裏一体でもあるのですが、賛否両輪のどちらが優位で信頼できる情報かを判断し続けることでネットリテラシーを高めることになるでしょう。 何の研究者でもなく専門知識があるわけでもない私は、それを繰り返して活動してきました。皆さんもぜひ一緒に「トンデモ・ウォッチ」をしてみませんか。
黒猫ドラネコ