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ビール界のヲタクが「クラフトビールに捧げた10年の愛」を追う

トイアンナ
偏愛・脳汁を語るサイト「ヲトナ基地」では、多数の「愛しすぎておかしくなるほどの記事」をご紹介してまいります。 ヲトナ基地で今回紹介する記事は「ビール界のヲタクが「クラフトビールに捧げた10年の愛」を追う」。トイアンナさんが書かれたこの記事では、キリンビールのグランドアンバサダー、中水和弘さんにフラッグシップである「豊潤496」をはじめ、クラフトビールについてインタビュー。クラフトビールへの偏愛を語っていただきました!

こんにちは、ビールヲタクのトイアンナです。
あまりにビールが好きすぎて、界隈で取材を繰り返す私…。今回、どうしても会いたかったのは、キリンで一般向けのビール講座「CRAFT BEER ROOM」を運営されていた、中水さんです。

中水 和弘(なかみず・かずひろ)さん広島県出身。キリンビール株式会社 クラフトビール事業部 企画担当・ブランドアンバサダー。ビールの面白さと、多様なビールと料理の組み合わせを楽しむペアリングを広めるため、一般のお客様向けのセミナーや飲食店向けのセミナー講師も歴任する。


キリンはクラフトビールの普及に力を注いでおり、2015年には代官山へクラフトビールの直営店をオープン。さらに一般人向けのクラフトビール講座を開講しました。それから10年、クラフトビールの認知度は約半数から9割にまで上昇。そんな中でキリンの地道な努力を支えていたのが、中水さんでした。

ビールの持つ「体験性」に魅力を抱いて

-中水さんが、最初にビールへの情熱を実感した瞬間はいつでしたか?

中水さん:私がビールの道へ本格的に踏み込んだのは、セミナー講師として一般の方々にクラフトビールの魅力を伝え始めたときです。講座で受講者の「おいしい!」というリアクションを間近で見るたびに、ビールが単なる飲み物ではなく“体験”なんだと実感しました。

「ビールって、グラスを変えるとこんなに味が変わるんだ!」
「泡のある・なしで味わいがこんなに違うなんて!」

という、体感で得るものがあるんです。

たとえば、夫婦で講座にいらっしゃる方って多いんですね。ビール好きの旦那さんが、奥さんを連れてくる。ところが、回を重ねるごとに奥さんの方がビールにハマっていって、最後は奥様がギークになる。そういう経験を重ねて、講師の私もビールをさらに好きだと感じるようになりました。

ヨーロッパで飲んだ絶品ビールに勝る「帰国後の一番搾り」

-中水さんにとって、忘れられないビールの味ってありますか?

中水さん:実は、「キリン 一番搾り」なんです。

私は研修でよく、世界中のビールを飲みに行っていた時期がありました。そのときも、ヨーロッパを横断しながらおいしいビールをたらふく飲んで、日本に帰ってくる。その空港で「一番搾り」を飲んで、それがとにかくおいしくて!

日本のビールって、多くがピルスナーと呼ばれる、チェコ発祥の味なんです。淡色で爽やかな色、キレのあるスッキリ味が多いんですね。しかし、海外ではペールエールやスタウトなど、しっかりした苦みや重さを感じるビールが多い。だから、日本の空港でピルスナーの懐かしい味わいを感じたときに、故郷の味を思い出したんです。

ビールって、多くの方が飲んだ経験のある飲み物。だからこうした、ひとりひとりの物語が生まれやすいお酒だと思います。

ビールグラスを見れば「提供者のメッセージ」がわかる

中水さん:ビールって、提供する側のメッセージが見えやすい飲み物としても面白さがあるんですよね。たとえば、ビールグラスにはこんなメッセージがあります。

中水さん:グラスの形で、私たちは自然と提供者のメッセージを受け取っています。たとえば、ビアフェスでよく見かける、とても大きなピルスナーグラス。あれを使ってビールを飲もうと思ったら、しっかりと傾けて、喉にビールが流れてくるようにしないといけません。

こういうグラスには、のど越しがおいしいラガービールが入っていることが多いんですね。だから、グラスを持つだけで自然とラガーをおいしく飲むスタイルになるように誘導していると言えるかもしれません。

ベルギービールの中でも著名な「ヒューガルデン」の専用グラス

あとは、ベルギーで研修としてビールを頼んだとき、パブで「ちょっと待って」と言われたことがあります。ビールはあるけれど、専用のグラスがないからと。ベルギービールには、専用グラスがあることが多いですね。その専用グラスを買って、ビールを飲んでみるのもおいしい体験になるはず。

ーそういうお話を伺うと、ビールって物語の結晶ですね。作り手がいて、グラスを作るメーカーがあり、そして提供者がいる。

中水さん:その通りなんです。だから、ビールって面白いなあって、私ものめりこんじゃうんですよね。

キリンの代表作となったクラフトビールの忘れられない味

キリンのフラッグシップ・クラフトビールとなった「SPRING VALLEY BREWERY 豊潤ラガー496」

-作り手の目線でいくと、中水さんはキリンのクラフトビールの代表作ともいえる「SPRING VALLEY 豊潤<496>(現在のSPRING VALLEY BREWERY 豊潤ラガー496)」の発売前から、この事業に携わっていますよね。

中水さん:はい。といっても、私自身は開発部門ではないので、チームの苦労を間近で見てきました。だからこそ、お披露目ではほっとしましたね。クラフトビールに関する思い出で、一番記憶に残っているのはそのときに飲んだ「豊潤 496」の味です。その後、世界5大ビールコンペティションで受賞したことでも、報われた気持ちになりました。

それに、このインタビューで「グラスの話」ができることも、私には感慨深いですよ。

ーどういうことでしょう?

もともと、クラフトビールの知名度が低かったころ、ビールといえば「ジョッキ」で飲むのが当たり前でした。けれど、日本で使われているジョッキって、南ドイツのスタイル。ジョッキ以外にもグラスは多種多様にあるものの、日本で10年前に遡ると、「ビールといえばジョッキ」以外、想起もされなかったのです。

実は、日本でワインの文化が浸透するまでに20年かかったという説があります。キリンをはじめとするビールメーカーは、これを10年でやりとげました。だからいま、グラスの話や、ビールごとに適した温度の話ができるようにまでなったんですね。その変化を、とてもうれしく思っています。

中水さん:この代官山にある、キリンビールのクラフトビール直営店「SPRING VALLEY BREWERY 東京」をはじめとする店舗や、自宅などで、気軽にクラフトビールを味わえる時代が来ました。ぜひ、気軽に楽しんでいただきたいですね。

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